虐待された子供は虐待する親になりやすい、傷つけられる相手を愛してしまう心理
増え続ける虐待件数
ここ十数年で虐待年数はかなり増えています。2010年に確認されていた虐待件数が5万件ほどだったったのに対して、2020年には20万件以上になっています。
虐待に関するニュースを見るのも昔と比べて増えました。暴力的な両親から施設に保護される子供の数は年々増加の一途を辿っています。
最近では若い人の貧困化もあり、離婚したのに両方の親が養育を放棄する、というケースも増えています。
中でも大きな問題として、子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」や子どもに暴言を吐くなど、身体的な虐待を伴わない「心理的虐待」が6割台に達しています。
「子供に暴言を吐く親」が増えているといのは信じたくないですよね、ですが、今外を出歩いていると、子供に対する態度に違和感を感じる親をたまに見かけるような気がします。
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虐待を受けた子供は虐待する親になる
自分にとって唯一無二の存在である親から虐待を受けた子供が、健康的な精神に育つわけがありません。
虐待を受けた子供達は心に大きな傷を負い、歪んだ人間関係を持つことがあります。
子供にとって「家」というのは、自分の世界の大半を占めています。そんな家の中で接する唯一の相手から虐待を受け続けた子供は、成人してからも自分を傷つける人を愛しがちな傾向にあります。
傷つけられ続けた影響で、傷つける相手に安心感を抱いてしまうのです。
恐らく、様々な理由から子供を傷つけてしまうことでしょう。ちゃんとした愛され方をされてこなかったのに自分の子供を傷つけずに愛を注ぐのは困難です。
ここでさらに深刻なのは、幼児虐待を受けた人たちの中には、無意識のうちに自分が受けたのと同じような接し方を子供にしてしまう人が多いということです。
つまり、自分がされたように自分の子供にも虐待をしてしまうのです。
これが虐待された子供が虐待する親になりやすい理由です。虐待は負の連鎖を引き起こし続けるのです。
教育的指導に暴力を行使してはいけない理由
「暴力」というのは、確かにわかりやすく脳に教訓をあたえることができます。
ダメなことをした際に暴力があれば、その行動をすることは控えるようになるでしょう。しかし、この暴力により学んでしまうことがあります。
それは、「言う事を聞かすなら暴力が早い」という思考です。
「暴力を振るわれては抵抗できない」「暴力は矯正する行為」「暴力には相手に言う事を聞かす力がある」「指導の暴力は正義」という認識に近くなってしまいます。
確かに暴力は言う事を聞かせやすいです。しかし、それを知ってしまったら暴力以外での解決が非効率にすら感じてしまうでしょう。
これも、虐待を受けた子供は虐待する親になる理由の一つです。自分の子供に対しても「言う事を聞かすなら暴力が早い」と、無意識レベルで判断してしまうのです。
教育とは、教える側が培ってきたもので成り立っています。暴力で育てられて来たのなら暴力で育てようとするのはむしろ自然なことです。
自殺願望が湧きやすくなる
心理的な虐待を受けたり、トラウマは持っていると、あらゆる理由から「自殺」という思考を連想させやすくなります。
人間は幸せに健康的に育っていたとしても、「死にたい」と思うことは普通にあります。誰だってストレスは溜まるし、すべてが嫌になって逃げだしたくなることがあるものです。
そうであっても、ストレスの限界が来る前に何らかの形で発散したり、動けなくなってでも休んだりしてどうにかやり過ごしていきます。
しかし、虐待などでトラウマを抱えている人は、「ストレスを抱えやすい」「常に一定量ストレスを溜めている」「限界が常に近い」状態を維持していることが多いです。
ストレスの限界が早く、ギリギリの状態が多い、という感じです。
そうなれば、酒などに強く依存して常にストレスを発散していないといけないです。依存していいものなんて基本的にないです。ですが、常に何かに依存していないと精神を保てないのです。
どんなもので物依存しすぎると限界が来ます。依存できるものをなくすと縋るものがないので精神的に逃げ場を失うことになります。
そうなると「もう逃げるなら死ぬしかない…」となるわけです。
「精神的に追い詰められる」というのは、眼に見える状況じゃなのでわかりづらいですが、一般的に思われている状況よりかなり危険状態です。
そして、「精神的に追い詰められる」という状況の厄介なところは、「打開するのがとても困難」という点です。
正直言って、「精神的に追い詰められる状態になりやすい」という時点で解決は困難です。追い詰められやすいメンタルの人は、どうあってもしんどい状況を維持し続けていることが多いでしょう。
そんな状態にならない為にも虐待を防ぐことが大切なのです。
一度でも虐待を受けようものなら、その後の人生でも引きずり続けることでしょう。「治らない障害を持ってしまった」という感覚に近いとすら思います。
「改善する」とか「気を付ける」とか、そういった程度の注意ではなく、
最初から一度でもあってはならないもの
と全員が自覚するぐらいでないといけないものだと思います。
対人恐怖症や過食気味になる
虐待された人は過食になりやすい傾向にあります。上記でも記載したストレス緩和を目的とした依存に近いです。
また、対人恐怖症にもなりやすいです。一番身近な人からひどい扱いを受けたら人に恐怖心を抱くのは当然でしょう。
こういった過食や対人恐怖症は身体的な悪影響に繋がります。過食はわかりやすく身体に悪いですし、対人恐怖症を和らげるために薬に頼るパターンも多いです。
「虐待」=「人間不信」は避けられなくなることを知っておきましょう。
虐待の負の連鎖をなくすには
再度言いますが、上記の理由から虐待を受けた子供な虐待する親になりやすいです。
その負の連鎖を止めるには親に強い忍耐力が必要になります。
子育てはとても大変なものです。ストレスも溜まるでしょう。しかし、だからと言って自分の感情を、自分より弱く小さな子供にぶつけるの絶対にあってはならないです。
その言動は子供の為か?自分のわがままになっていないか?本当に導く為の物か?子供の心を壊してしまわないか?と常に意識しておきましょう。
「虐待」は無自覚に起きる事が本当に多いです。
気が付いた時にはもう手遅れになっているかもしれません。常に自分の言動を客観視し、子供に対して正しい態度か考えて行動しましょう。
忍耐力や子供のことを思った行動を支える物は、やはり愛情です。利己的なことを考え過ぎず、愛情をもって接すれば、本当に子供を思った行動はとれるはずです。
忍耐力と愛情をもって子供に接しましょう。
虐待を受けた子供は虐待する親になりやすい