満足できるのは

誰しも一度はお金を「遊びに行く為に使う」「欲しい物を買う為に使う」という二択で悩んだことがあるではないでしょうか。

先に言ってしまうと、この問題に確実な答えはもちろんないでしょう。買い物をした方が満足することもありますし、思い出にお金を費やした方が満足できることもあります。

「物は手元に残るし生活を豊かにすることが多いから物にお金を使う方が得」と考える人もいれば、

「物なんていくらあっても仕方がない、自分を成長させれるし体験にお金を使う方が幸福感が高い」と意見もあります。

正直言ってどちらも正しいですよね。物には手元に残る絶対的なメリットもありますし、やはり人は思い出や体験に幸福感を感じやすいです。

デメリットに関してもどちらの意見も納得できるくらいありますし、「どっちでも変わらないんじゃないか?」と思えるほどの議題と言っていいでしょう。

しかし、人が「どちらの方が満足しやすいか」というのは、数々の実験・調査によって結論が出されています。

ポイントとしては、結果的に人という生き物が「得をするか」「満足をするか」「幸福感を感じるか」というとことですよね。

今回はその調査内容を一部紹介しつつ、「物欲」にお金を使うのがいいのか、「体験」にお金を使う方がいいのか、という問題を解説していこうと思います。

「物ばかり買って金欠」という人も「遊びにばかり行ってすぐにお金がなくなる」という人も一度この記事を見て、「自分のお金の使い方は正しいのか」ということを考える判断材料にしてみてください。

満足感が長続きしない

空港 女性 旅行する女性

特に引っ張ることでもないので結論を言ってしまいましょう(笑)人の満足感を考えた時に「物欲」か「思い出」でどちらが良いのかというと、「思い出」にお金を使った方が良いという実験結果が出ています。

結構意外な結果だと思いませんか?私は物欲が強い方なのでちょっとショックでした(笑)

では、なぜお金を「思い出」に使う方がいいのかを海外で行われた心理的な調査を基に解説していきます。

この議題を調査したのは心理学者リーフ・ヴァン・ボーヴェンとトーマス・ギロヴィッチの二人です。

この二人は、お金を品物(流行もののドレスや最新機器)に使うのがよいか、経験(レストランでの食事、旅行、コンサートなどなど)の物ではない方がよいか、ということについて調べていました。

実験内容
全国的な調査で「自分がしあわせになる為にお金を使った品物と体験」を書き出してもらい、買い物で気分が高揚した割合を答えてもらう

別の調査にて、参加者を任意に二つのグループに分け、片方のグループには自分が最近買った品物を、もう片方のグループには最近買った体験を書くようにしてもらう

そして、現在の気分を下記の二通りに評価してもらいます。
悪い(マイナス4) 良い(プラス4) までと、悲しい(マイナス4) しあわせ(プラス4) 
調査結果
短期的・長期的な幸福感の両方で「体験」を買う方が品物よりも人の気分を良くする、という結果になった。

この結果を見ただけでは、なぜ「体験」が勝ったのかはわからないですよね。ポイントは「短期的・長期的にでも」という部分にあったそうです。

体験に対する人の記憶は時間と共に変わっていきます。基本的に楽しい思い出が強く残り、アクシデントですら「こんなこともあって大変だったな(笑)」くらいの良い思い出になりますね。

時間がたっても、それどころか時間がたてばたつほどに、「幸せを感じた瞬間」が残るようになります。「そんなことはない、良くない事の方が覚えている」という方もいるかもしれませんが、基本的には「楽しい思い出にお金を使ったこと」なので、まず総合して「楽しくなった」ということは少ないでしょう。

「楽しかった思い出」は「幸せの瞬間」として記憶に残るようになるのです。

一方「品物」に関しては、時間がたてばたつほどよい、ということはありません。劣化し、汚れ、飽きて、流行からも遅れることが殆どでしょう。

「魅力」が下がり続けるのです。パッと考えた時には、手元に残る品物の方が満足感が続きそうですけどね。確かによくよく考えると買ったものが「当たり前」になるまで時間はかからない上に、壊れたりなくなったら終わりです。

短期的な幸せで考えても体験している時が楽しいのは当たり前だし、長期的な「幸福感」から考えても、「品物」よりも「思い出」が良いのは納得できることでしょう。

幸福感の誘発

思い出は「長期的」に見ても満足度があると上記で説明していますが、どんどん忘れていってしまうイメージあもりまよすね。物は実在しますしその部分は心配ないです。

実際、忘れていくことも多くあるでしょう。しかし、「楽しかったこと」というのは意外にも頭に残っているものです。今までの思い出って頑張って捻りださなくても出てきますよね。

さらに思い出は「人に話す」「人と共有する」ことが可能でなのが大きいです。

物は高価であればあるほど人に話すことは憚れるでしょう。気にせず話していれば周りから遠ざかれることもあります。

それに対し思い出は他の人の体験の一部になることもできるし、後々それを人に話したり思い出を共有することもできます。

やはり「孤独」な要素を含むことより、「共有」できることの方が人は幸福を感じやすいのです。まぁそれはそうですよね(笑)

自分の物欲を知る

花を持つ男性

「物」より「思い出」と言われても受け入れられないし、「何よりも買い物が好き!」という人もいるでしょう。

もちろん絶対に「物にお金を使う人より思い出を取る人の方が幸せ」ということはありませんので安心してください。

ただ、「思い出にお金を使うことも悪くない」「人は思い出から幸せや満足感を得やすい」ということを頭に少し入れておければ、今より人生が少しだけ豊かになりやすいかもしれません。

なので、今の自分がどれだけ「物」を中心に生きているか一度測ってみるといいです。

10~20点「低い」 21~40点「中間」 41~50点「高い」

上記の質問票は見ての通り、あなたの物質中心指向の度合いを測る為の表です。点数が高い人ほど物欲が高かったり物への執着が強いことを示します。

点数があまりに高いと、人の幸せを物で測ったり、所有している物で成功を測る傾向にあるといっていいでしょう。

点数の低い人は、物よりも自分の経験や人間関係に価値を置きます。中間であればどちらの要素もあり、傾きがない事を指します。

「物」中心の人の幸福度

上記の質問票の結果から、人生の満足度を調べた結果、やはり点数の高い人ほど幸せ度は低く人生に満足していない、という結果になったそうです。

ではなぜ、「物欲が高い人は幸福感が薄いのか」という疑問が生まれます。普通に考えたら浪費に繋がり経済的に困ってしまうから、と思いますよね。

しかし、経済的な問題ではないとされています。問題は物質主義の人は自己中心的な人の傾向にあるからだと言われています。

次の項目より詳しく解説するのがですが、お金は「自分より誰かの為に使う」方が幸福度が高まるそうです。

自己中心的な人はお金を自分にしか使わないので、幸福感を得られづらいのです。

誰かの為にお金を使うと脳が喜ぶ

プレゼントをする女性

上記でも軽く触れましたが、自分ではなく誰かにお金を使うと幸福度が高まります。胡散臭い感じもしますが、これは脳科学的に見て本当に幸福度に影響がみられています。

オレゴン大学の神経経済学者ウィリアム・ハーボーが2007年に行った実験により、誰かの為にお金を使った時の脳の動きを知ることができました。

実験内容
架空の銀行口座に百ドルあるという前提で、参加者の脳の動きにスキャナーで調べました。

参加者はまず、自分の一部が貧しい人の為の税金として徴収されていると知らされます。そして、残りの分は寄付するか自分の為にとっておくか、自分で決めるよう指示されます。

スキャンした結果、古くから存在している脳の部位「尾状核」「側坐核」の動きが、貧しい人にお金が徴収された時に活発になりました。さらに、自発的にお金を寄付したときにはより活発になったそうです。

「尾状核」「側坐核」は私達の「欲」が満たされた時に活発に働く部位です。この実験から、寄付したことによりわかりやすく欲が満たされたことが明らかにされています。

これは完全に科学的であり、脳の仕組み的に見ても、人の為にお金を使うことが脳を喜ばせる、ということになります。セラピーで「人の為にお金を使え、そうすれば脳に良い」と直接的な言い方をしても間違いではないレベルです(笑)

少し嫌な言い方になりますが、親切にすると気分がいいですよね。あれは人の親切にすることによって出る脳内物質を味わう為でもあり、「自分の幸福感を満たすため」と言っても間違いではないのです。

サプライズでプレゼントをする時、パートナーの一番喜ぶであろう物をプレゼントできた時、その反応を見る時は自分も最高の気分になりますよね。

渡す前も「早くプレゼントを渡したいな」「喜ぶ顔が見たいな」と、うずうずしてしまいます。渡した時に「欲」が満たされるのは相手だけではないのです。なにかいい事があって友達にご飯を奢るだけでも気分はとてもよくなります。

もちろんプレゼントをされた方もとても嬉しいです。あなたへの信頼度・親愛度はたとえ高価な物ではなかったとしてもとても上がります。

多くの場合は、「その値段以上のモノ」を得るでしょう。たまに奥さんにサプライズするだけで、末永く幸せな関係を維持できるかもしれません。

「自分の為にもなる」と考えれば、人の為にお金を使いやすいかもしれませんね。

まとめ

買うなら「物」よりも「経験」や「思い出」になるものにお金を出す方が幸せになりやすい。旅行、習い事、ライブやコンサート舞台などにお金と使うと良い。他の人と一緒に体験できたり、後々思い出を共有できるようなものだとなおよし。

お金を使うなら、自分の為に使うのではなく誰かの為に使うと良い。寄付や知らない人の為に大金を払ったりするのではなく、自分の身の周りの人に、ちょっとしたサプライズをする程度で全然よく、周りとの友好関係も良くなり、より人生を華やかにしやすい。

人は一人で幸せになるのは難しい、ということかもしれませんね。買い物が楽しい事は間違いないので、これはあくまで一つの知識として見て頂ければ幸いです。

「思い出」と「物」どちらにお金を使う方が幸せになれるのか、心理実験の結果から解

スマホでも楽々