「反射神経」という神経は存在しない。「素早い反応」を意味する反射神経は鍛えられるのか

ドーパミン 脳の画像

反射神経

記事タイトルでも記載している通り、「反射神経」という神経は私達の身体に存在していません。

ですが日常的に「反応速度」を表す言葉として使われることがありますね。素早く反応する動きを見せた際に「反射神経いいね!」なんて言われたりします。

もしくは、「無意識下で行われる素早い動きの総称」として使われます。机からモノを落としてしまった時に思考を省いて手を伸ばし、そのモノが落下しきる前にキャッチする動作などです。

そもそも「反射神経」なんて言われるようになったキッカケとしては、「反射」という言葉が生物学的にあることから言われるようになっています。

生物学で言う反射(はんしゃ、英: reflex or spinal reflex)とは、動物の生理作用のうち、特定の刺激に対する反応として意識される事なく起こるものを指す。普通、反射という言葉を使う対象は意識の存在が(曖昧にではあっても)確かめられる脊椎動物に限られる。たとえば昆虫が光に集まる、ゾウリムシが水面近くに集まるというような走性は反射と呼ばない。ヒトの反射でもっともよく知られたものに、膝蓋腱を叩くと下腿が跳ね上がる膝蓋腱反射、屈筋反射がある。

Wikipediaより引用

生物学的に言う「反射」は、特定の刺激に対して起こってしまう反応を指します。

引用でも記載されていますが、有名なものでいえば膝蓋腱反射ですね。膝を叩けば足が勝手に上がってしまう現象です。こういったものが「反射」となります。

そういう意味から考えれば、落ちたものを思考を挟まずに取る動作は、「反応できている」というより、「反射で動いている」という方が適切な感じがします。

そこで「反射がいい」と言うよりも「反射神経がいい」という方がしっくりきますからね。

ここまでの説明で言ってることを纏めると下記の三点になります。

・「反射神経」という言葉は存在しない
・一般的には「無意識下で行われる素早い動きの総称」として使われる
・生物学で言う「反射」から来ている

「言葉」というのは、相手に伝えたいことを伝えることができれば問題ないので、これからも「反射神経」という言葉はあった方がいいですね。便利ですし(笑)

「反応速度が速い」とか「反応速度がいい」とかだと、言いづらい上にしっくりも来ないですし、「反応」って、認識して意識的に思考や行動する意味になるので適切でもないと思います。

こんなことを言い出したら「運動神経がいい」なんてこともちょっと違う感じがしますからね。

「運動神経」は実際にある言葉ですし、身体を動かす指令のことを言うので、上手く動けていたら間違ってはいないのですが…

それがスポーツとかで上手く動けていることを指す言葉としては微妙な感じもしますし(笑)

反射神経(素早い反応)は鍛えられるのか

動体視力 反射神経

「反射神経」って鍛えられるイメージは無いですね。生まれながらのモノで「鍛えよう!」と思って強化されるイメージが湧きません。

そんな反射神経ですが、鍛えることは可能です。単純な反応速度には個人差があり限界もありますが、練習することにより反応を早くすることはできます。

上記でも説明したように、反射神経は「無意識下で行われる素早い動きの総称」になるので、主に使われる脳の部位は「小脳・線条体」となります。

この「小脳・線条体」を上手く活用することで反応が速くなります。行動までの動きがスムーズになる感じですね。

脳の準備ができている

正直言って、漠然と「どんなことにも早く反応できる」みたいなことは難しいです。自分が獲得したい動きは把握している必要があります。

そして、その動きが必要になるタイミングを予測していることが重要です。そういった動きの流れを鍛えるのであれば、「どう動くかな?」と考えながら人の動きを見て真似ると練習になります。

スポーツであれば真似て思考する練習法で反応を鍛えることは可能でしょう。「反応が速い」は「脳の準備ができている」「行う動きのイメージが頭に入っている」と考えればいいです。

だから何事もフォームや基本技術の反復練習が重要になるのです。最適かつ必要な動きをスムーズに行えるように脳が把握している必要があるからです。

スピードに対応する動き

あとは、「自分の限度を超えたスピードを体感する」と反応できるスピードがあがります。

反応できない圧倒的なスピードの球とかだと効果はありませんが、「ギリギリ反応できない球」に対しては、身体が勝手に反応しようとします。

わかりやすい例で言うと、自分より早く走れる人と無理やり同じペースで走れば、その人の身体はそのペースに合わせた筋肉の使い方をするようになります。身体は速度に対応していくのです。

なので、笛を使った「ストップ&ゴー」でダッシュをする練習などが効果的ですね。それにダッシュ・ストップ以外にもジャンプや方向転換などを加えるとより効果的です。

純粋な身体能力向上以外にも、スピードを上げればその分身体もついて行こうと、脳や筋肉もそのスピードに対応した動きをしますし、予測や判断能力も鍛えられます。

動く物に反応するトレーニング

わかりやすく反応速度を上げるトレーニングを上げるとすれば、やはり動くものを「予測する」「眼で追う」などを日頃から行えば反応速度は上がります。

ここで重要な考え方としては、ただ反応速度を上げることを意識するのではなく、ちゃんと目標を眼で追えること、目標の動きを予測することを意識しましょう。

神経回路を鍛えるイメージではなく、物を追い反応する為の推理力を上げる、という感覚です。

この感覚を意識できれば、スポーツでよく言われる「嗅覚」の養うことにも繋がります。脳を鍛えれば全パラメーター向上にもなります。

早いボールが取れるようになるのも、反応速度が上がるだけではなく、ボールを取る為の感覚・予測・動作を脳が理解し実行できるようになるからです。

キャッチボールなども良いトレーニングになりますが、より反応速度を上げたりのであれば上記の「リアクションボール」などを利用するのもありです。

どこに飛ぶか予測をしづらいので、初動から起動を読む能力や高い集中力が必要になってきます。脳を「予測モード」に瞬時に切り替える能力も付きます。

キャッチボールを工夫したい方には上記の「リアクティブキャッチ コーディネーション訓練」なんかがオススメです。本当に面白い商品がでましたね。

私的には掴む際に色を指定すると一気に難易度が上がります。投げた瞬間に「黄色でキャッチ」なんか言われたらかなり脳に負荷が掛かりますし、眼でかなり追従するので動体視力向上も望めます。難しくても「見ようとする」だけでも十分なトレーニングになるので、

今は筋トレ以外にもスポーツ科学や脳トレを組み込んだトレーニングが盛んでいろいろなグッズがあります。せっかくなので積極的に利用していきましょう。

イメージ・予測が大事

身体能力

上記でも記載していますが、早く反応する事において、「脳の準備ができている」ことより一番早く反応できることはないです。

「相手はこうやってきそうだな」「こんなことになりそうだな」と予測を立てて、相手がその通りに動いたり、予想していた事象が起これば、どんな身体的な反応スピードにも負けない速度で反応できます。

一般的な理想は、ことが起こってから瞬時に反応できる「反射」的なことだと思いますが、イメージしてる・予測していることよりも早いことはないです。

自分がどんな動きをするかイメージしておき、相手の動きや事象を予測して、自分のイメージ通りの動きを被せる、これが一番早く反応するテクニックです。

どんなことでも優秀な成績を残している人は、「反射神経がいい」などと思われがちですが、本当はイメージ・予測する力が強く、勝てる脳の使い方を意識的に磨いてる人だと思います。

脳の使い方を意識することは誰にでもできます。けど、それを意識する人は少ないです。なので、自分の脳の使い方を意識できるようにして、他の人と差をつけれるようにしましょう。

「反射神経」という神経は無い?「素早い反応」を意味する反射神経は鍛えられるのか

シィダ

「脳」をテーマに情報を5年以上発信しており、人生が豊かになるような脳科学の記事を書いています。最近では「人工知能(AI)」に興味を持ち、「ChatGPT」や「Stable Diffusion」を触っています。AI画像生成が趣味で、「X(旧Twitter)」に挙げて遊んでいるの良ければ覗いてみてください。

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