給料が高いとやる気がでない

「給料が高い方が頑張れる」「給料が高くないと人はやる気を出さない」

みんなが当たり前に持っている共通認識だと思います。給料は高い方がよくて、安い給料じゃ誰も頑張らないし、仕事へのやる気が出ないはずです。

お金を払えば沢山仕事をしてくれるし、沢山貰えば沢山働かないといけないです。

実はこの考え、人の心理的観点から見ると間違えています。

人はつらい仕事ほど、安い給料の仕事ほど、満足してしまいます。

あなたの職場にバイトの人はいますか?そのバイトは仕事に対してやる気を感じられますか?張り切って仕事をしていますか?

もし、仕事にやる気を感じられず、文句を言いながら働いているのなら、そのバイトは簡単で責任も重くない結構いい条件の仕事ではなかったりしませんか?

今回は、多くの人が騙されている労働への心理を説明していきます。

あなたは「仕事は過酷であればあるほどいい仕事」って思っていませんか?

あなたの上にいる人間は、あなたの半分も仕事していないかもしれませんよ?

労働が過酷だと満足してしまう

上記にて、人は給料が高いと仕事に文句を言い、つらくて給料の安い仕事ほど、満足してしまうと説明しました。

普通に考えると逆になりそうだし、自分の周りも安い給料に不満を言いながら働いている、という人もいると思います。

ではなぜこんな風に思ってしまうのかを説明していきます。

認知的不協和理論

社会的心理学者 L・フェスティンガーが唱えた「認知的不協和理論」というのをご存じですか?

認知的不協和(にんちてきふきょうわ、英: cognitive dissonance)とは、人が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。人はこれを解消するために、矛盾する認知の定義を変更したり、過小評価したり、自身の態度や行動を変更すると考えられている。

ウィキペディア参照

「労働者は科せられた労働が過酷であればあるほど、安い賃金でも満足しやすい」というものです。

アメリカで行われた実験がありまして、

グループを2つに分けて両者に単調な仕事をさせ、一方には20ドル、そうしてもう一方には1ドルしか支払わなかったところ、1ドルしか貰っていなかったグループの方が「仕事が楽しかった」と答えた人の数が多かった、という結果が出ました。

単調でつまらない仕事にストレスを抱えながら仕事をしていたはずなのに、たった1ドルしか貰えなかったグループは、自分が低く評価されたと考えたくない為、

「この仕事は自分の為にやっているんだ」と自分に思い込ませることによって、無意識に納得してしまうのです。

仕事に見合わない対価(1ドル)が不協和になっています。

しかし、20ドルもらったグループは、仕事のストレスをお金で解消させようとしますから、どうしても仕事に愛着は持てません。

「これが20ドル分の働き?見合っているのか?」など、自分の働き=お金に100%できていないとストレスを感じてしまうのです。

人間は思いのほか「心持」を優先的に考えます。一切自分の為にならなくても人に親切にするし、逆に対価があっても気持ちが良くなければ、それは「損」していると捉えます。

ボランティアをやっている人達は、何の見返りもなくても、一生懸命に楽しいそうに活動します。

利益などには関係なく、自分の行動に良い「意味」を持てますからね。

逆にボランティアに自給が発生したとします。働きに見合った分なので大した金額にはならないでしょう。

しかし、「0」ではないです。間違いなく普通にボランティアをするよるよりは得をしているはずですが、実際に給料を支払ってしまったらどうなるでしょう。

恐らくばかばかしく感じてしまう人もいるでしょう。「認知的不協和理論」で考えれば、それはとても自然なことなのです。

自分の仕事について考え直してみる

今のあなたは仕事にやりがいを感じていますか?給料には満足していますか?

「体力的にしんどいけど楽しい」「ストレスはあるけどやりがいもある!」と仕事に満足している人もいると思います。

自分の仕事に満足できるのはとてもいいことです。しかし、自分の働きに見合った給料を貰えているかは別問題です。

あくまで可能性の話しですが、自分の仕事に満足しているのは、それは上記のような心理が働いて、給料が安いから満足しているからかもしれません。

これを機に、自分の客観的にみて、今の仕事が合っているか確認してみるのもありだと思います。

仕事に不満を持った時に考えること

どんな仕事であっても不満や他の事への欲が出てきます。そうなると他の仕事や周りの環境を気にしだします。

しかし、ある程度の不満に耐えるのは必要です。耐える能力がないとどうあっても成功することは難しいです。

特に、給料だけみて仕事を選ぶのは本当によくないです。身体を壊したりすぐ辞めてしまえば、時間と準備に費やしたお金を無駄にすることになります。

今の仕事も、その時点で自分ができる最大限の条件の中から選んでいる仕事なのが殆どのはずです。改めて「選び直す」場合は、スカウトなどを除外すれば条件が悪くなることが多いでしょう。

勿論転職しないことを勧めるわけではありませんが、「このままではいけない」と不安や焦りに駆られ、冷静に考えずに軽率な判断をしないことが重要なのです。

可能性や期待値が高かったら問題ないでしょう。しかし、不安要素が多いと後悔することも多いです。成功する可能性がゼロじゃないにしても失敗の可能性が低い訳ではないですから。

転職に関しては、下記に記事に書いているので良ければ併せて読んでみてください。

好きではない仕事、「今の仕事を続けていいのか…」「このままではいけない」と思った時にすること | DISA LOG

人は安月給の方が仕事に満足してしまう、社畜ができてしまう仕組み、今の仕事で大丈夫?