兄妹で性格は同じにならない

兄弟姉妹がいる子供って明らかに正確に違いがでますよね。「兄妹揃って真面目」とか、「兄弟どちらもやんちゃ」とか、そういったことは聞かないと思います。

上の子がどんな子に育ちやすいか、下の子は上の子の影響でどうなるか、という研究はかなりされており、「能力に影響はあるか」「どんな性格になるか」などのことがある程度わかっています。

今回は、対人関係に焦点を絞った研究でわかっている「生まれた順番による影響」について解説していきます。

後から生まれた子が得る能力

下の子の能力

カリフォルニア大学の心理学者フランク・サロウェイは、生まれた順番によって、ある程度は人の開放性の度合に影響があると考えてるそうです。

上の子に能力の差を感じる

当然ですが、後から生まれた子は先に生まれた兄姉より能力が劣ります。何をやっても知能や技術で能力の差を感じることになるでしょう。

一番わかりやすいのが身体能力です。身体の大きさから腕力まで早い段階で勝てないと自覚します。ちゃんと自覚するというよりは、無意識下で察する感じに近いでしょう。

だからと言って「勝てないから諦める」という思考にはもちろんなりません。ここで人として生き延びる為の本能が働いてきます。

考え工夫するようになる

知能、技術、身体能力で上の子には勝てないと察した子は、両親の愛情や意識を自分に向けさせるために独自の工夫をするようになります。

もちろん細かい計算をしているわけではないですが、愛を注いでもらうことに全力な子供は、生きる本能として、自分に意識を向けさせる行動をとるようになります。

単純に「注意や関心を集める」という感情が芽生えやすい環境になりやすいのです。

開放的になることで能力を得る

「注意や関心を集める」ということが目的となるのであれば、必然的に開放的な行動をとる必要が出てきます。

この「開放的な行動」が身に着ける能力に大きく影響してきます。

人の目を集める方法は様々です。

「独自の特技を披露する」
「何かを創造する」
「普通の人がしないような行動をとる」
「反抗的な態度をとる」

これらの行動は「独自性」「創造力」「冒険心」「反抗心」などを育てます。

対抗する人のいない長男・長女には、そういった感情は芽生えづらいでしょう。下の子ができても、現時点で勝っている能力に頼って注目を集める方が早いです。そもそも注目を集める必要もないので、そういった行動にでないことが殆どでしょう。

上記の行動が成長の上で、プラスにもマイナスにも働く可能性はありますが、こういった意識を持てるのは、上の子がいるメリットであるといってもいいでしょう。

上の子は先導者や指導者に、下の子は革命家に

革命家 指導者 人の上に立つ者

心理学者フランク・サロウェイは各界の有名人6000千人の伝記から、生まれ順による影響がどれほどあるか実例を分析しました。

分析結果は極端な結果を導き出し、上記の説は驚くほど多くの実例に当てはまったそうです。

長子を調べた結果

ジミー・カーター
ジョージ・W・ブッシュ
ビル・クリントン

ご存じの通り、アメリカ大統領の大部分は「長子」に当てはまるのです。

下の子を調べた結果

ジェファーソン
マルクス
カストロ

上記の革命の指導者などは、あとから生まれた子供に当てはまったそうです。

科学的に分野に関しても、調子は主流派の学者が多く、コベルニクス、ダーウィンなどの後から生まれ育った人たちは、かなり革命的な学者になっているそうです。

このことから、子供時代の過ごし方やわずかな経験の違いは、今後の人生を変えるほどの影響を与え、性格におよぼす影響も大きい、という説が強くなったのです。

生まれる順番による能力の差

生まれてくる順番

ここまでの話しを聞いていると、上の子は下の子よりも能力面に優れていて、下の子は能力面では劣るが独創性や創造力などのクリエィティブな面が強い、みたいに感じる人もいるかもしれません。

しかし、最近の研究で生まれ順による能力の差は「殆どない」という結果になっています。

「殆ど」という表現になっていしまっているのは、「イリノイ大学」で行った生まれ順による能力実験の結果にて、「IQ」や協調性などを測る指標が「違いが分かるほどの差はない」という結果になったからです。

下記の調査結果から確認できます。

バーナム効果ではないのか

この研究結果からは、協調性・外向性なども調査していて、そういった能力についても差はないという結果なので、性格に関しても生まれる順番は関係ないとも取れます。

数字で表されていることですし、この実験結果を基に、順番は性格に関係ないと結論をだしてしまうことも可能でしょう。

生まれる順番が性格に関係あるといのは、血液型占いなどを信じてしまうような「バーナム効果」が掛かっており、当てはまっている点だけを見てしまい、一般的に言われる兄妹の印象で決めつけてしまっている可能性もあるかもしれません。

しかし、性格や行動原理が関わることをこの実験だけで決めてしまうのも違うと考えます。この実験だけで測れない部分もあると思いますし、サロウェイの調査結果も事実なのは間違いないです。

しかし、知能指数に関しては数字のまま受けとめても問題ないはずです。なので、「能力に差はないが、出生順による性格への影響は存在する」というのが一番有力になるのではないでしょうか。

この疑問を深堀するのであれば、心理的な印象操作が自分で行われていないか意識してた上で、周りを観察して自分の考えを出すのもいいかもしれません。

下の子は創造力や独自性が良くなる、生まれる順番によりどういった影響があるか解説